NAGISA TAXI Cruisin'

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<<   作成日時 : 2008/08/11 03:13   >>

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僕が書いた大英断というタイトルで、国土交通省が特定特別監視地域を指定してこれまでの”規制緩和”路線から方針転換して、取り敢えず著しい供給過剰な地域での増車や新規参入を立法措置をとらずに制限しようとしたという記事を彼のブログにトラックバックした事が始まりである。

これまでの僕のブログの読者ならば既にお分かりだと思うが、誤解を招かぬ様再度、タクシーの”規制緩和”に対する僕のスタンスを書いておこう。

☆原則、新規参入は自由とする。但し、社会保険・雇用保険の加入は絶対条件。
☆増車に関しては、道路運送法・労働関係法の違反がない事並びに加入すべき社会保険・雇用保険に入っている事が条件。
☆認可台数については、正規雇用運転手数の3分の2を上回らない事。
☆運賃については認可制とし、その決定に当たっての目安となるタクシー運転手の適正な賃金水準比較は、その地域での競合する鉄道・地下鉄・路線バス等の運転士のそれとする事。
☆運賃はゾーン制とし、上限認可運賃から10%下回るものを下限とする。下限未満は認めない。
☆道路運送法違反・労働関係法違反・社会保険に関係する違反・不正等についてのペナルティーは現行の車両停止処分では不十分であり、罰金制の導入や強制減車措置が必要。
☆タクシー運転者資格の創設並びに個人の営業権に対するペナルティーが必要。
☆いわゆる人を乗せない買い物代行等のサービスの自由化。


以上、簡単に並べたけれど、はっきり言って2002年2月以前の総量規制・同一地域同一運賃に守られてきた護送船団方式には絶対反対の立場である。
既に、ブログで旧態依然としたタクシー業界の呆れた実態については多数報告済み。
タクシー業界も流行の言葉で言えば”チェンジ”が必要である。
そういう意味で僕は改革派だと言えよう。

しかし、タクシーの現場を知らない一部の経済学者はいまだに、行政は何もしなくてもタクシーは市場の中で淘汰されると信じて疑わないようだ。
2002年の原則自由化から6年の間にタクシーは増え続け、社会的”悪”と認定され認可が取り消されたのは一件だけ。
何故なのか?
それは、一言で言えば行政・警察の怠慢・癒着にある。
タクシーを監督する国土交通省も道路交通法を取り締まる警察も労働法関係違反を改善・指導する立場の厚生労働省も本気ではやる気がないし、タクシー業界も天下りの受け皿だからである。
今ここでその構図についてこれ以上述べようとは思わない。

丁度、異端経済学者さんが「白タクを認めろ」と主張されているので、なぜ市場経済だけに任せる自由化(僕は野放しと表現している)が社会的”悪”なのか?考察したい。

ここに一台の法人タクシーと一台の無認可タクシーがあります。
前者をA、後者をBとします。
あなたは今からどちらかの車に乗車しなければ目的地には約束の時間に行けません。
Aの場合料金は20000円かかります。
Bは白タクですから交渉次第でもう少し安くてすみそうです。
そこで持ち合わせの少ないあなたはBと交渉が成立して12000円で運行をお願いしました。

ここで、AとBの間の差について考えてみます。
Aは認可された運賃を収受するあらゆる法律を守る健全な事業者です。
収受した20000円から労働者Cに支払われる賃金は税込み総額で12000円、手取りで10000円。
会社は8000円の中から事業税・消費税・法人所得税・保険料・経営者の利益・株主の利益・事務員の給料・車両設備の原価償却・燃料費・社会保険料・その他必要な諸経費を支払います。

Bは法人タクシーの運転手の手取りが10000円である事を知っています。
だからあなたに12000円を提示したのです。
2000円は燃料代と車両の減価償却費です。

あなたは無事に目的地につけるかどうか不安です。
目的地までの道順はあなたは知りません。
ちゃんと損害賠償保険に入っているかも分かりません。
約束の場所まで無事にたどり着けなくても、すべて自己責任ですね。

運よく、愛想のいい運転手で道もよく知っていて無事に目的地に到着しました。
あなたは12000円を支払い、領収証を要求しましたが、運転手Dは領収証の発行を拒否しました。
タクシー事業は無届だし、税金もなにもかも納めてないからです。

あなたは領収証がないけれども8000円得をしたと思いました。

Cはあなたではない他の客を乗せてDと同じだけ仕事をしました。

Cは25歳から毎月手取りで20万円の給料をもらい65歳を迎え定年退職し、今は月々10万円の年金をもらって足りない分はアルバイトで正規雇用よりもはるかに短い時間でタクシーを転がして何とか生計を維持しています。

Dの人生はどうだったか?定職にはつかずに時々白タクをしながら、偽造した診断書を使って公営住宅にただで入居し、生活保護まで受給していたのです。

あなたはDの生活の実態を知らなかった為に12000円の支払で済んだ事を得だと思いました。
しかし、よく考えてみると、Dの生活はあなたを含めた社会全体の税金や社会保険料負担に依存していたんです。

あなたが白タクを選ぶ行為は一時的にはあなたにも得なようでも、得をしたのはDだけ、法人Aも労働者Cも損をした事になります。

長いスパンで見ると、税・社会保険料の公平負担を考えた時、あなたとDの行為は社会的”悪”と認定されます。

タクシーを公共交通機関と捉えて考えた時、いつでも・どこでも・だれでも・安心・安全・適正な料金での利用が鍵となる。
通常先進諸国において、メーター運賃制がとられている最大の理由は交渉力のない弱者がボラれない為である。
だから、一定のルールの中で公正な競争条件が保たれる事が必要になる。
細かい事だが、タクシー乗場の設置には一定の事業者負担と入構権があり白タクは一切の負担(義務)を果たしていない。

ここに書いた”白タク物語”はまんざら嘘ではない。
関西で新規参入した法人タクシーの事業者の多くはリース制(名義貸し)による運行管理の放棄・相対運賃等の違法行為を日々行っているのはNHKの番組『タクシードライバーは眠らない』でもとりあげていましたね。
僕等、健全な事業者は日々戦っています。

僕は今、規制緩和の弊害を見つめ、改善すべき時だと考えます。
その意味で、法改正がなされるまでの暫定的な今回の国土交通省の立法前の増車制限措置を評価します。

異端経済学者さんが
そして私が最も問題と感じるのは、規制内容の決定は国土交通省の役人の掌中にあること。そう、個々の規制にはそれによって利益を得る人、損をする人がいる。でも、その規制の内容はある一部の人たちによって決定されてしまう。日本という国に生きている人たちのうちほとんどはその決定に加われない。その問題こそが自由主義者たちの主題となる。


と述べているが、小泉政権の下で、2002年の規制緩和を推し進めたのはオリックスの宮内氏でありその規制改革民間開放推進会議のメンバーにはタクシーメーター屋さんの矢崎氏の名前があった事。
増車によるタクシーリース戦略、そして、当時経営状態の芳しくなかった日交のかつて赤坂営業所だった場所には今何のビルが建っているのか?
当然、知っていての発言ですよね。
あなたの言う通り、この国では役人でもなく選挙で選ばれたわけでもない一部の人たちだけが得をするように、非民主主義的な密約がなされています。

あなたはどうやら自由主義と民主主義を履き違えています。
日本国憲法では国民の義務は教育・勤労・納税とある。
タクシーの完全自由化を唱えるならば、共同体とは何か?税制のあり方・社会保障制度のあり方・所得再分配の方法・セーフティーネットについても提示していただかなければなりません。

僕は以前、大竹文雄氏池田信夫氏にも同じ事を言いました。
タクシーに関する問題は統計的な数字や経済学上の数字からは見えてこない。
机上の空論はいらない。
タクシーに関して論じたければ、汗をかいて調べなさいと。
そこには血の通った人間がいる。
タクシーという仕事は脈々と続く時間軸の中で、人と人とのつながりのある社会の関係性の中でしか成立しない。

昨日、オリンピックの柔道で谷亮子さんは銅メダルに終わりました。
僕は代表選考で谷選手を選んだ日本柔道連盟の責任だと考えていました。
ところが、視聴者から送られる応援メッセージや新聞紙上にある谷選手と同世代の子育てママから寄せられる沢山の熱い思いを知り、ああ、これが養老孟司氏のいう”バカの壁”なんだなと気づきました。


バカの壁 (新潮新書)
新潮社
養老 孟司

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
要点を適切な文章で書いていますね〜{客とよく議論をしました}


今当市で?全員に社会保険を掛けてる・タクシー会社が有りますか?
数%の〜後数年で定年前だ〜少ない給料だが我慢して将来の為に〜と
後の90%以上は一切の保険は掛けて居ないのですよ〜

社会保険を掛けるより〜今日・明日の生活費が必要なのだと〜
其処まで追い詰められたドライバが大部分の業界なのですよ〜

タクドラが病気でもすればどうするのか?「雑巾は使い捨て〜」
本当に実情を話しても信じないのが〜今まででした〜
今から??年後は?貴方の子供達が世代を背負う時代が来る〜









頑張りまん〜
2008/08/12 02:52
いつも感心しながらブログを読ませていただいています。急にコメントをさせていただくことをお許しください。私のタクシー業界及び規制緩和に対する意見、スタンスはNAGISAさんと近いものがあります。が、今回のスタンスの中で一つ質問があるのですが。認可台数に関して、NAGISAさんは正規雇用運転手の3分の2までとのご意見ですが、3分の2の根拠をお尋ねしたいと思います。私は正規雇用運転手の2分の1との考えです。ご存知のとおり、タクシードライバーは1日乗務1日休日の就労スタイルです。基本的には2人で1台を運行するシフトがほとんどの会社でくまれていると思います。車は1ヵ月丸々運行するかというと、ドライバーにも公休日があるはずなので、月6日は休息日があるはずです。それを利用して、車の整備なり予備車にするなりが可能だと思います。3分の2ですとかなり予備車つまり余剰台数が生じ、車のお持ち帰りや規定拘束時間違反などをやりやすい環境になると思われますが、いかがでしょうか?
あるタクシードライバー
2008/08/13 22:05
あるタクシードライバーさんこんばんは。
コメントありがとうございます。
確かに、東京・大阪などの都市部では一車二人制が原則です。
しかし、例えば関西で見ても郡部であればある程、二車三人制の割合が増え、さらに周辺の郡部は一人一車制が一般的になりつつあるのが現実です。
ですから、例えば、僕がいる神戸のかつて勤めていた法人の例では、現状は正規雇用200人・アルバイト80名に対して200台で実働率が90%です。
理想は確かに二分の一ですが。
地方では高齢化もあり、三分の二でも実質的な減車になると思います。
本当はその地域毎に人口とか自家用車の普及率とか細かい実情を見て、二分の一から三分の二の間で決めていくべきでしょうね。
こういうものこそ、経済学や統計学の専門家がちゃんと計算して欲しいと思います。
Sweetsoul69
2008/08/14 00:20
私のほうにも勘違いや安易な部分があったようにも思われます。返事はできるだけきちんとしたものをお送りしたいので、もうしばらくお待ちください。
異端経済学者
2008/08/16 11:11
ただものではないですね…
これからも色々と教えてください
豊川博圭
2008/08/17 06:14
私も昔・在社した2会社を時々覗くと休車の列。
「値上げ申請した〜」社長が「いいの〜?」
もう行き止まり寸前〜タクドラ不足〜燃料高騰。
「減車をした方が〜」分かって居るけど他社が〜
互いに他社の倒産を期待〜「昔なら話合えたが〜」
古代人
2008/08/17 15:57
 異論は当然ありうるでしょう。今回は謹んでお受けしておきます。

 ただ、経済学のひとつの手法として法律や政策を考えるときに気にすることは、その法律や政策が善悪を正しく規定しているか、ということではなく、その法律が社会にどのような効果をもたらすか、ということになります。経済学者がすべてこう考えるわけでも、経済学者以外にこう考える人がいないわけでもありませんが。
 その上で、私が通常はないくらいに自由主義を支持するのは、法的な規定や政府の介入できる部分を増やすほどに、特定少数の支配層側の胸先三寸の判断で決定されてしまうことが増えてしまうから。それは、別の見方をすれば、その支配層以外の人たちから利益を奪い取るような決定をする余地が増えてしまう。それを恐れてのことです。
異端経済学者
2008/08/23 22:16

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