NAGISA TAXI Cruisin'

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<<   作成日時 : 2007/06/10 05:33   >>

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またしても事件がおこった。
何が事件かって?
NHK職員が・・じゃなくてまた無恥な学者様がわけのわからん事を宣っていらっしゃる。
それは池田信夫blogの記事である。

彼の文脈にそって彼の記事の嘘を指摘してみよう。

まずは冒頭部分の朝日が使ったデータについて、「役所の情報操作に乗って都合のいい数字」と批判しておきながら、彼自身が記事全体を通じて引っぱっているデータも全て他人任せのニセモノだという自己矛盾。
そもそもタクシー事業者が国土交通省に提出を義務付けられている輸送実績報告書や収支報告書等は事業者にとって不都合なものは隠されている(最初から虚偽)から単なる統計資料に過ぎない。

年収の話で彼の論理から完全に抜け落ちているのは労働時間と雇用形態だ。
僕は統計資料はあくまで資料としての存在価値をある程度認めた上で、12年間で72万km走破した経験と法人タクシー勤務時代の労働組合運動の実体験から導き出された真の数字を提示しながら彼の記事の嘘を暴こう。

僕が営業しているのは神戸であるが、全国的には平均より少しましな数字だと理解してほしい。
彼が想定している勤務形態は隔日勤務というものだが、建前として一回の勤務が午前7時から翌日の午前2時までの19時間というのが一般の流しのタクシー会社が届け出ている就業規則上の拘束時間である。
これが月12回。年間144回で2736時間だ。
バブル期は定められた時間内で一回の乗務で約5万円の水揚げがあった。
運転手の賃金は水揚げの60%が相場だから年収は432万円になる。(時間当たり1578円)

今はどうか?定められた時間内では規定のノルマを達成することが難しく、一回の乗務で21時間。月間14回乗務。年間168回。実に3528時間にもおよぶ。(時間回数ともに労働基準法違反)
一回当たりの水揚げが30000円といったところが平均的な数字だ。
水揚げが30000円だと賃率は55%程だから年収は277万2千円(時間当たり785円)になる。
これは妻と子供二人の標準的な世帯モデルで考えても生活保護受給額以下で深夜や時間外の勤務を含めた数字が785円では最低賃金を完全に下回るものだ。
彼は「バブル期に比べて30%近く減っている」としているが、時間も加味した実態は50%減である。

僕は規制緩和だけが必ずしも問題だとはしていない。
1970年をピークにタクシーによる輸送人員は減少傾向にある中、業界は規制に守られ構造的な問題の解決努力や労働者からの建設的な改善要求も出されないままバブル崩壊を迎えて需要が更に冷え込んだ。
ご指摘の通り失業者にとっては規制緩和以前から一定の雇用の受け皿として機能してきたのは事実であるが、その事がかえって業界の自序努力を怠らせる原因となっているのもまた事実である。
新しく雇い入れられる運転手の多くは50才を超える高齢者で、彼らにとっては業界の未来などどうでもよくて労働者としての連帯など考えもしない。
関西では利用者も当然とばかりに、そんな程度の悪い年金未納者や或いは年金受給の超高齢のアルバイト運転手と交渉し、メーターなんか倒さずに運行するいわゆる相対運賃が横行している。NHKの番組でもカメラがその様子を捉らえていたが客も運転手もまったく悪気がないそぶりだった。
経営者はそんなことを知りつつも、ただただ稼働率を上げる事だけを考え(業界の常識では一台あたり月間のピンハネは5万円)高齢者を雇い入れる事による助成金を得る事で収益を確保してきた。

規制緩和以降、事故が減っているのはタクシー運転手の高齢化とドライブレコーダーの導入等によるもので、決して景気の回復によるものではない。
その証拠にタクシー運転手の過労死は増加している。つい一週間程前の事、夜の三宮で客待ち中の運転手が死んでいるのを乗り込もうとした客により発見されたばかりだ。

規制緩和で誰が損をしたか?
彼の論理から抜け落ちているのは既存の運転手や事業者の中でやる気のあるまたはプロとして誇りを持って仕事をしてきた者の存在である。
「タクシーの運転手は失業者の受け皿だから」のくだりにいたってはあたかも全てのタクシー運転手がホームレスより少しましと決めつけているのが見え透いて、彼の人格的・思想的バイアスを露呈している乱暴な表現だ。
どんな職業であれ、そこには生身の血の通った人間がいるのを忘れてはならないだろう。
それとも同情的な表現のつもりなのか?

利用者が得しただって?
冗談じゃない。接客態度が悪い事や地理不案内のにわか運転手に当たる確率が増え、不愉快な思いをするお客さんは増えている。

また彼は増車が2万台=4万人の雇用と単純に決めつけているが、雇用形態は様々で地方では一人一車制が進んでいるし、稼働率は80%程度だから4万人は完全な嘘だ。
そもそもタクシー運転手になれなかったら4万人全てがホームレスになるなんて有り得ない話だろう。そんな事になったら完全な国策の失敗でそれこそ暴動が起きるだろう。

更に重箱の隅を突くようで大変申し訳ないが「労働強化される労働組合」は正しくは「労働強化される真面目な労働者」であり、僕の経験上、組合(執行部)は組合員数が増え(組合会計の増加)、いろんな問題が発生し仕事を理由に役員が合法的に金を使える事を歓迎しているはずだ。

いろんな恥識人がいるが、この記事に関していえば学者が考える机上の空論よりもさらに悪質な空想のマスターベーションだ。

もし真剣に貴方がタクシーを論じたければ、僕が10年間下積みを経験したように、貴方も10年かけて実態調査してからにしなさいと言いたい。
朝日嫌いの貴方が単にタクシーの記事をネタとして使った印象は否めない。

彼のblogの愛読者に呼び掛けよう。
「『』に気をつけて」と。

なお、僕のタクシービジョンはblogの中に点在しているが、その詳細については個別の項目を見て頂くとして、タクシーの抱える主な課題を上げておこう。

@利用者が選択できる乗り場の設置、環境整備と情報開示及び利用者への啓発
A悪質な運転手(事業者)の市場からの駆逐の促進(神の手に委ねていても市場からの退出は現在のところまだないしその可能性は低い)
B利用者利便向上の為の距離短縮料金の設定と乗車距離をなくす距離逓減割引の導入(運賃改正)
C定年制の導入(法人タクシー)を含むタクシー運転者資格制度の国家資格創設
D福祉割引の充実
E若年者雇用の促進(中高年助成の廃止)


まだまだ沢山あるがこれくらいにしておこう。

国土交通省が監督官庁である公共交通に係る行政の爾後チェック機能は有効に機能していない。
例えば稼働率が80%のタクシー会社に車両停止をかけても、運転手がいつもと違う元々遊んでいた車両に乗るだけだ。
更に悪質な事例はコムスンじゃないけれど問題を起こした事業所を廃止してグループ内の別会社に譲渡する脱法行為は今現在進行形で行われている。(仁坂知事頑張れ!)
中小のタクシー事業者の多くは親兄弟でグループ会社を形成しているからである。
あずみ野観光バスの事故があり、ようやく監査人員を増やすようだが、増えたといっても全国で総勢たったの200人である。(タクシー・バス・トラックを全部見るというのは到底無理な話だ)

朝日の記事は、神戸よりも更に悲惨な状況の地方都市において一時的に参入・増車をストップする緊急調整措置の発動要件のハードルを引き下げるという内容である。
これは規制緩和が誤りであったことを認めたくない政府与党の参議院選挙に備えての妥協の弱者救済のポーズに過ぎないし、東京の運賃改定が進まないのも有権者に向けたアピールだろう。騙されてはいけない。

24時間365日タクシーは動いている。
当たり前のことだがそれは利用者があり頑張る運転手がいるからである。
薬師院氏風に言えばタクシーはみんなのものである。

僕が今タクシーで使っている車は日産のティアナであるが車両価格は自家用仕様で300万円だ。
皆さんがご自分で300万円の車を購入して5年間使用すると想定してみて下さい。
どれだけの維持管理費がかかるか?
駐車場代・税金・保険料・車検整備費・ガソリン代etc。
僕が住む神戸で仮定しても駐車場は月額2万円。保険料と整備費用で月額2万円。月間の走行距離が1000kmだとガソリン代は少なく見積もっても月額1万8千円。5年後の残価が半分あったとしても減価償却は月額2万5千円。これだけでも月額8万3千円になる。
遊びに行けば別途駐車料金がかかるし、アルコールは厳禁だ。走れば走る程費用は膨らみ、洗車にかかる手間や、もしもあなたが下手くそなら修理費用もかさむだろう。さらに言えばあなたが運転する労力を加味すれば・・

賢明な読者の方は既に実践しているのだが、都市部においては自家用車を持たないライフスタイルを提案したい。
環境に優しいし、渋滞は緩和され、経済効果は大きい。
車が売れなくなるって?それは大丈夫。神戸などの地方都市ではタクシーの新車は10%未満しかありませんから、需要が増えればタクシーの新車代替が進みます。
皆さんの毎月10万円程の全額をタクシー代に回して欲しいとは言いませんが、24時間365日、あなたのお好きなところでドアトゥードアで利用できる日本のタクシーをそれでも高いと思いますか?
白タクなんてとんでもない、利用者の安全をおびやかしプロの邪魔になるだけです。
利用者には賢明な選択をお願いします。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
TB有り難うございます。
現役のタクシーの運転手さんに読んで貰えて光栄です。
門外漢は限られた情報内で判断するしかありません。
何かを批判するとか、誰かを中傷するとか云った低俗な話でなく
或る日乗り合わせたタクシー内での一コマを
blogに綴らせて頂きました。

宜しければまた御訪問下さい。
武蔵野日記
2007/06/11 16:53
ただいま修行中というブログを書いている者です。
TBありがとうございました。

池田信夫氏のサイトは私はお気に入りにきっちち入っておりますが、やはり実際の現場にいる方の意見というのは、レベルが違って参考になります。
有益なTB本当にありがとうございました。

どうしても、一般的に議論されているようなネタに触れようと思うと、読みやすい文章を書く有名人ブログを読む事になってしまうわけで、そんな流れで池田信夫氏のサイトも見ております。
ただ、できるだけそこから得たインデックスをたよりに、あとは自分で情報収集できるといいなぁー。と考えております。

長くなりましたが、実際のお仕事頑張ってください!
やいだ(みむら)
2007/06/13 00:21
池田信夫氏に限らず一般の人々は労働の現場のナマの声に耳を傾けてほしいと思います。生身の人間がうごめいている現場には数字も大切ですが、論理を超えた感情や言葉に出来ない怒りがある事を理解して欲しいと思います。それはどんな職業でも同じであり、どんな雇用形態でも同じはず。
フリーターや非正規雇用の生産が日本の豊かさを底辺から支えていることを忘れてはいけないし、見捨ててもいけないと思います。経済学者はあくまでも経済の専門家であり、知らない事をさも良く知っているかのような文体で書かれると多くの一般の読者が騙されて進むべき方向を誤ってしまう恐れがあります。それは社会にとってマイナスだと考えるから現実を示しているのです。
ちなみに池田氏は僕のこの記事のTBを拒否しています。議論が出来ないのなら公の場に書くなよと思います。

Sweetsoul69
2007/06/13 06:45
http://ja.raddit.net
に紹介させてもらいました。現場の声と現場を無視した専門家の実体が見えるという事は第三者からも興味深く読ませてもらいました。記事タイトルが刺激的すぎるとは思いましたが。

僕はこうやって現場の声が見えてくるところがブログの良いところだと思っています。それが大きく取り上げられるより、ただ池田氏のように好戦的で無知なエンターテイナーのほうが目立ってしまっている事は残念に思っています。また、好戦的な人がアルファーブロガーとしてあがめられている現状は由々しき事なんですよね。
super_phoenix
2007/06/19 18:30
コメント有難うございます。一人でも多くの方に実態を知っていただき、問題の本質を利用者の皆様とともに考え、連帯のネットワークを拡げて行きたいと思います。
Sweetsoul69
2007/06/20 05:42

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